アロマセラピー
アロマテラピー:芳香浴の楽しみ方
芳香浴とは、香りを浴びるという意味になります。
精油を使って自分の空間を気持ちよく整えて、香りを楽しむことによって心身のバランスをよりよくしてみませんか。
◆ハンカチなどを使って
ハンカチなどに精油を染み込ませて持ち歩いたり、机や枕元に置いて香りを楽しむ方法です。精油をつけた部分に直接肌が触れないように注意してください。また濃い色の精油は、ハンカチにシミができることもあるので注意しましょう!
◆芳香拡散器を使って
芳香拡散器とは、熱や空気で精油を香らせるものです。ご使用の際には、必ず取扱説明書をよく読んでから使用してください。
→キャンドル式芳香拡散器
アロマポット、オイルバーナー、オイルウォーマーなど、上皿に精油をたらし、キャンドルに火をつけて温める方式のものが一般的です。精油は引火しやすいので、次の点には注意してください。
・熱に弱い樹脂加工のテーブルやオーディオ機器の上に置かないでください。
・風のこない安定したところで、子供やペットの手の届かないところに置いてください。
・火のそばに精油の容器や燃えやすいものを置かないでください。
・使用中はそばを離れないでください。
・就寝時は必ず火を消してください。
・専用のキャンドルを使い、空焚きしないように注意してください。
→電気式芳香拡散器
部屋のムード作りに効果のあるアロマライトや電球にはめるアロマリングなど、ライトの熱で精油を温めて使うものです。ディフューザーは、精油の香りを電気式のエアーポンプで空気中に拡散させる器具で、広い空間に使用するのに効果的です。
アロマセラピーとは
アロマセラピー(芳香療法)とは、ハーブ(薬用植物)や果実などから抽出した100%天然のエッセンシャルオイル(天然植物精油、略して精油)を暮らしの中で美容や健康に役立てることをいいます。自然志向や健康に対する関心が強まる中、安全でしかも実用性とファッション性を兼ね備えた手軽な美容健康法として、アロマセラピーは我が国だけでなく、フランス・イギリス・ドイツ・アメリカなどでも注目をあびています。
アロマセラピーの歴史
アロマセラピーと言う言葉を初めて使ったのはフランスの科学者ガット・フォセで、1928年に「芳香療法」という著書を発表しています。日本では1985年、イギリスのアロマセラピー研究家ロバート・ティスランドの著書「アロマセラピー(芳香療法)の理論と実際」が翻訳されました。アロマセラピーは比較的歴史の浅い分野と思われがちですが、はるか昔から植物の芳香成分を治療に役立ててきた歴史があります。中国・中東・エジプト・インドではおよそ3000年の歴史を持ち、「医学・薬学の父」と呼ばれる古代ギリシャのヒポクラテスもハーブによる400あまりの処方を記録として残しています。その後も、ハ―バルメディスン(ハーブ医学)は発展を続けました。17世紀にはイギリスのカルペパーやジェラードなど薬草学者が活躍してハーブ医学の黄金時代を迎えたといわれています。しかしその後、科学技術の進歩に伴い天然のハーブの中から目的とする有効成分のみを抽出し、また合成する技術も進んだため、品質管理が難しくコストの高いハーブ医学は、科学技術をバックボーンにした近代医学にその座を奪われてしまいました。そして近年、病気いなってから治療する近代医学の考え方ではなく、正しい日常生活を取り戻して病気にかからないようにする予防医学が見直されてきました。アロマセラピーはストレスなど、目に見えない原因にアプローチすることが可能で、しかも副作用が少ないということで注目をあびてきています。
快い香りが脳に働きかけてストレス解消
心配事で胃が痛くなったり、イライラがつのって血圧が上がるなど経験したことがあると思います。このような心の状態が体に影響を与え、それが具体的な症状になって表れる病気を心身症といいます。心身症の例としては胃潰瘍・十二指腸潰瘍・気管支喘息・高血圧・不眠症・アトピー性皮膚炎・偏頭痛・月経前症候群・慢性関節リュウマチなどが知られています。これらは体に表れた症状を治療するのはもちろんのこと、その元である心の状態・感情・情動面への配慮も同時に必要です。ストレスは我々の五感を通じて察知され、そこから神経を介して脳に伝えられます。脳ではその情報を受け取るとそれに対処すべき指令を神経を介して体の隅々まで送り、体の状態を変化させます。ストレスと体はあらゆるところで折り合いをつけるのですが、さらに強いストレスや長期間にわたるストレスが加わると体はもはや適応できる許容範囲を超えて、心身症となって表れるのです。アロマセラピーの心地よい香りで心身をリラックスさせるだけでも、心身症に関しては、十分意義のあることといえます。
ハーブの中の有効成分が細胞の老化を防ぐ
老化のメカニズムの研究は世界中で積極的に行われています。なかでもハーブの老化防止効果が大きな注目をあびています。我々が食事を取る目的は食物によって得られる栄養素と、呼吸によって得られる酸素を体の中の細胞で燃焼させて、それによって発生するエネルギーによって生命活動を営んでいます。しかし栄養素が酸素とともに完全燃焼し、すべてエネルギーに変わってしまえば問題はないのですが、この反応の過程で活性酸素という物質が発生します。この活性酸素はは体内の細胞と結びつき細胞を傷つけてしまいます。酸素と結びつくことを酸化といいますが、この酸化こそが老化の原因なのです。何百種類もあるハーブには、共通する成分としてこの酸化を防止(老化防止)する作用が認められています。よって日常的にハーブを取り入れることによってある程度までは老化を防止し成人病を予防することが可能になります。
香りはこのようにして体に効きます
エッセンシャルオイルの有効成分を体に取り入れるには2つの方法があります。ひとつは香りを鼻から吸入して脳に働きかける芳香浴、もうひとつはエッセンシャルオイルを植物油に希釈して、それを皮膚から吸収させ血液やリンパ液に送り込むアロママッサージがあります。
吸入のメカニズム
エッセンシャルオイルは揮発性なので、分子は空気中を漂い嗅上皮という部分に達します。香りは嗅細胞で電気信号に変換されて嗅神経を経て大脳辺縁系へと伝達されます。このメッセージは海馬という記憶を司る場所や脳下垂体へと伝達されます。エッセンシャルオイルには抗菌作用もありますので、室内の空気浄化に利用できます。アレルゲンやカビ・家ダニも除去してくれます。このようにエッセンシャルオイルは、様々な作用を心身に及ぼしながら、同時に環境にも働きかけていろいろな効果を発揮してくれます。
マッサージのメカニズム
マッサージの目的には3つの方法があります。
①血液やリンパ液の循環を高める
②体の緊張を解いてリラックスさせる
③体に滞った水分や老廃物を取り去る
このような効果に加えて、アロママッサージはエッセンシャルオイルの効用が加わります。植物油で希釈したエッセンシャルオイルはマッサージによって皮膚表面から、毛穴や汗腺、皮膚表面の角質層を構成する角質細胞、角質細胞の隙間などのルートを通って皮膚の深部である真皮へと浸透します。エッセンシャルオイルは分子が比較的小さいため容易に細胞と細胞の間から深部へと浸透し、そして毛細血管やリンパ管に入り全身をめぐる循環に乗ります。それと同時にマッサージという物理的刺激が浸透と循環を促進します。このように体内に入ったエッセンシャルオイルは最終的に、腎臓からの尿、皮膚からの汗、肺からの呼気というルートで体外に排泄されます。
エッセンシャルオイルのはたらき
①生理作用
植物界には、森林の中の一本の木に害虫が付くと、その木がある種の香りの物質を出して警告を発し、それを感知したほかの木が防御体制を整えるといった現象が見られます。香りは情報の伝達物質、あるいは他に行動を促すメッセンジャーといえるでしょう。それぞれのエッセンシャルオイルは鼻から脳下垂体へと伝えられ、様々な生理活性物質を介して、自律神経・内分泌系・免疫系の各システムメッセージを送ります。
②心理作用
香りは脳の中で記憶を司る海馬というところに伝わります。ある種の香りに出会ったとき、「懐かしい」と感じるのは、脳に香りの情報が記憶されているからです。エッセンシャルオイルの香りには「温かい」「冷たい」「乾いている」「湿っている」「拡がる」「縮む」など様々なイメージをもたらすという報告もあります。
③抗菌作用
植物は病原微生物などから身を守るために自ら抗菌物質を出す能力を授かっているといわれています。エッセンシャルオイルの持つ抗菌力も、香りを空気中に漂わせるだけでブドウ球菌やサルモネラ菌といった細菌や白癬菌やカンジダなどの真菌の発育を完全に阻止できるくらいにきわめて強力です。
また抗生物質が効かないウィルス類に対しても抗ウィルス作用があるともいわれています。
④生体リズムの調節作用
人間の様々な身体機能、睡眠やホルモン分泌などは1日、1ヶ月、1年といった周期でリズムを刻んでいます(体内時計)。この体内時計が脳下垂体の付近にあると考えられており、エッセンシャルオイルの香りがそこに及ぶと、乱れたリズムを正常に戻す働きをすると推測されています。
精油の製造方法
①水蒸気蒸留法
原料のハーブをそのまま、あるいは砕いて釜に入れて、下から水蒸気を吹き込んで成分を気化上昇させます。この蒸気を管に集めて冷却すると蒸気は液化し、容器に液体がたまります。エッセンシャルオイルは、水の比重より軽いので上澄みとなって浮き、これを集めます。これが精油です。
②圧搾法
スイートオレンジやレモンなど柑橘系のエッセンシャルオイルをつくる方法で、果皮を手や器具で押しつぶして絞り出す方法です。
③溶剤抽出法
バラやジャスミンなどデリケートなエッセンシャルオイルを製造する方法です。まず花の香気をエーテルやヘキサンなどの揮発性溶剤に移行させてから、溶剤を揮発させて取り去るとコンクリートという固形物になります。これをアルコール溶剤で再び溶かして成分を移行させ、溶剤を飛ばして最終的に精油だけを残します。この方法で得られたものをアブソリュートといいます。
精油の希釈濃度
エッセンシャルオイルは植物の有効成分を濃縮してつくられたものなので、原則として原液は使用しません。マッサージなどの直接皮膚に触れる用途にはかならず薄めて使います。この薄めることに使う材料を基剤といい、マッサージの基剤としては植物油を使います。植物油に対するエッセンシャルオイルの割合は1~1.5%以内で薄めるのがよいとされています。ただしこの濃度はあくまで目安であって、エッセンシャルオイルの種類や使用する方法によって多少異なります。適正に薄めたものであっても、まれに皮膚アレルギーを起こすことがあるので、、アレルギーの有無を確認するために※パッチテストをすると安全です。
※パッチテストの方法としては、まず基剤に使う植物油のみを二の腕やももの内側など肌の柔らかい部分に少量塗布し4~6時間様子を見ます。異常がなければ次にエッセンシャルオイルを指定濃度で植物油に希釈したものを同様にテストします。万が一かゆみや発赤などがあった場合は中止し、大量の水分を取って成分を体外に排出するようにしてください。
エッセンシャルオイルの保存法と使用期限
エッセンシャルオイルには揮発性があり、空気中の酸素と結合して酸化がおこると、品質が劣化しやすくなります。よって使用後は必ず栓を固く閉め密封保存します。光や熱のよっても変質しやすいため、遮光性のある褐色のガラス瓶に入れ冷暗所で保管してください。夏場は冷蔵庫で保存するとよいでしょう。エッセンシャルオイルの保存期間は、開封後、柑橘系は6ヶ月、そのほかは1年以内に使い切るようにしてください。薄めることに使う基剤の植物油もエッセンシャルオイルと同じ条件で保存し、ホホバ油は6ヶ月、そのほかは3ヶ月で使い切るようにします。またエッセンシャルオイルを植物油で薄めたマッサージオイルなどは2~3週間以内で使い切る分量をつくり、決して大量に作り置きしないようにしてください。
精油の使用上の注意
エッセンシャルオイルは濃縮されたものですから作用も強いので安全には特に注意しなければなりません。
①注意すべきこと
2歳以下の乳幼児には原則としてエッセンシャルオイルを用いたオイルマッサージは行わずに、芳香浴やハーブティーの方法でケアしたほうがよいでしょう。妊娠中の方は専門知識のある人に相談して行うようにしてください。
②原液の使用と内服について
原液で使わないのが原則ですが、例外的にラベンダーとティートリーだけは狭い範囲に限って直接皮膚につける方法があります。(例:小さな火傷やにきびに綿棒に1滴たらして塗るなど)
内服は、フランスなどでは医療関係者の管理下で行われるケースもありますが、素人判断では危険ですので絶対に行わないでください。
③光感作
光感作とは精油成分が紫外線に反応してかゆみや発赤などのアレルギー症状を生じることです。このアレルギー反応を起こす可能性のあるのはベルガモット・スィートオレンジ・レモンなどの柑橘系とバーベナ・アンジェリカなどです。従ってこれらの精油を外出時、日光に当たる部分に使うのは避けます。
④ケモタイプについて
ケモタイプとは、同一の植物であっても生育する土壌や太陽光線の量などによってその植物から抽出されるエッセンシャルオイル中の含有成分の比率が著しく異なるものをいいます。
精油の選び方
質の高いエッセンシャルオイルを使用することがアロマセラピーでは重要なポイントになります。購入する際のチェックポイントは、まず容器。容器については光で変色しないように必ず褐色ガラスびん入りで、さらにスポイト付きであれば、シリコン製を選んでください。次に容器のラベルを読んで以下をチェックしてください。
①産出国または産出地域
エッセンシャルオイルの原料は天然の植物ですから、その品質の良し悪しは原料となる植物の生育した土地の土壌、水質、太陽光線の量に大きく影響されます。
②原植物名
植物名はその国の地域の俗称で呼ばれることが多く、混乱を避けるために世界共通の学名で表記されています。
③抽出部位
植物は、花部や葉部などその部位によって含有成分が異なります。どの部位から抽出されたかによって同一原料でも品質に差が出ます。
④抽出方法
同じ原料でも抽出方法の違いで呼称を区別しているものがありますので注意してください。
⑤含有成分の品質基準
エッセンシャルオイルは100種類以上の成分を含んでいますので、そのすべてを分析表示するのは不可能です。そこで品質の指標となる成分について含有量をはかり、これを基準としている場合があります。